本記事では、オンラインアンケートの回答が表面的になりがちな問題を改善するために、LLMチャットボットを活用した研究を紹介します。
オンラインアンケートは手軽に多くの人から回答を集められますが、深い情報を得るのは難しいこともあります。
そこで、回答者が自然な対話を通じて、無理なく詳しく語れるような工夫が求められていました。
参照論文情報は記事の下部に記載されています。
背景
私たちが普段使っているインターネットのアンケートは、たくさんの人に手軽に質問できる便利なツールとして広く使われています。どこからでも簡単に参加でき、すぐに回答できるため、多くの調査で役立っています。ただ、アンケートには大きな課題もあります。それは、自由に書き込める質問があっても、回答する人がじっくり考えずに、短く簡単に済ませてしまったり、途中で疲れて適当に答えてしまったりすることがあるという問題です。
また、普通のアンケートでは、回答者が何か面白いことを言ったとしても、それについて詳しく聞く追加の質問ができないという弱点があります。インタビューであれば、話を聞きながら「もう少し詳しく教えてください」「それはどうしてですか？」と自然に掘り下げることができますが、ネットのアンケートではそれが難しいのです。
そこで注目され始めたのがチャットボットの活用です。チャットボットは、人と自動で会話ができるプログラムで、参加者の回答に合わせて質問を変えたり、さらに詳しい話を引き出したりできます。アンケートが単調な質問の繰り返しではなく、まるで会話をするように進められるため、回答する人が楽しんで積極的に参加できるのではないかと期待されています。
しかし、チャットボットは完璧ではありません。相手が言ったことをちゃんと理解して、適切な質問を返すのは意外と難しいものです。質問の仕方によっては、「このチャットボットの質問は面倒だな」と感じたり、「会話がかみ合わないな」とイライラしたりすることもあります。どのような質問方法がアンケートで役立つのか、まだよく分かっていません。
そうした状況を踏まえて、研究者らは、これまでにインタビュー研究で使われてきた質問テクニックを参考に、チャットボットでのアンケートに最適な質問方法を探る研究に取り組みました。参加者が楽しみながらも、深く考えて答えられるような、新しいアンケート手法の開発を目指したのです。
以下で詳しく紹介します。
