Googleが実践するLLMを活用したコードマイグレーション

2025.01.17
深堀り解説
深堀り解説

本記事では、Googleが取り組む”LLMを活用したコードマイグレーション”の実践事例を紹介します。

コードマイグレーションとは、ソフトウェアやアプリケーションのコードを、ある環境やプラットフォームから別の環境やプラットフォームへ移行するプロセスです。

成熟した企業のコードベースを最新の状態に保つことは重要な課題であり、従来の自動化ツールでは対応が難しい複雑な移行作業が数多く存在します。

LLMと従来のアプローチを組み合わせることで、Googleはこの課題にどのように取り組んでいるのか、具体的な事例とともに見ていきましょう。

発表者情報

  • 研究者:Stoyan Nikolov et al.
  • 研究機関:Google Core, Google Ads

背景

ソフトウェア開発の現場において、コードマイグレーションは重要な課題とされています。成熟した企業のコードベースは20年以上の歴史を持ち、数億行規模に及ぶことも珍しくありません。

ビジネスの競争力を維持するために、企業はコードベースを最新の状態に保ち、新しいフレームワークやライブラリを採用する必要に迫られています。しかし、大規模なコードベースの移行作業は、多大な時間と労力を要します。

従来のコードマイグレーションツールは、抽象構文木(AST)を利用した決まった手順による方法を採用してきました。AST(Abstract Syntax Tree)とは、プログラムの構造を木の形で表現したもので、コードの内容を整理して理解しやすくし、解析や変更を簡単にするための仕組みです。しかし、文脈に応じた複雑な変更や、複数のファイルにまたがる一貫性のある変更を行うことが難しいという問題があります。

一方、LLMは、コードの理解と生成に優れています。汎用的なコード補完やレビュー支援などの分野ですでに実用化されていますが、より複雑な用途への応用は発展途上です。

そのような状況において、研究者らはLLMを活用した新しいコードマイグレーション手法の開発に取り組みました。具体的には、Googleの複数の製品部門で実際に発生している移行作業を対象に、LLMとASTベースのアプローチを組み合わせた実践的な解決策を模索しました。

以下で詳しく紹介します。

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