「AIが自動的に優れたAIエージェントを設計する」新分野の提唱 数学エージェントが読解でも好成績

2024.08.30
深堀り解説
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本記事では、LLMベースのエージェントを自動的に作る新しい方法について紹介します。この方法を「エージェントシステムの自動設計」、略して「ADAS」と呼んでいます。

研究者らは、ADASの具体的な例として「Meta Agent Search」というプログラムを紹介しています。LLMによって自動的にLLMエージェントのプログラムコードを生み出すというアプローチです。

参照論文情報

  • タイトル:Automated Design of Agentic Systems
  • 著者:Shengran Hu, Cong Lu, Jeff Clune
  • 所属:University of British Columbia, Vector Institute, Canada CIFAR AI Chair

背景

機械学習の歴史を見ると、人間が手作業で設計したシステムは、最終的には機械が学習して置き換わることが多いようです。
この考えをもとに、今回研究者らは「エージェントシステムの自動設計(ADAS)」という新しい研究分野を提案しました(システムの名前ではなく研究分野の名称)。エージェントシステムの設計を自動化し、新しい構成要素を見つけたり、既存の要素を新しい方法で組み合わせたりする研究分野です。

そして特に注目すべきアプローチとして、エージェントシステム全体をコンピュータープログラムとして定義し、別のエージェント(メタエージェント)が新しいエージェントをプログラミングして自動的に発見する方法を考案しました。プログラミング言語は理論上あらゆる計算が可能なので、この方法を使えば、指示の与え方やツールの使い方、処理の流れなど、さまざまな可能性を持つエージェントシステムを見つけられる可能性があります。

なお、この研究分野は科学的にも興味深い側面があります。人間の組織や社会から生まれる複雑さの原因を理解するヒントになるかもしれないのです。ADASの研究は、人間社会に似たシステムにおいて、単純な条件から複雑さが生まれる過程を観察する機会となる可能性があります。

以下で今回の研究を詳しく紹介します。

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